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五島ではたらく若者応援 fullyGOTO2023冬号 表紙の顔

fullyGOTO2023冬号 表紙の顔 出口 倫子(いでぐち みちこ)さん

 今回冬号の表紙を飾ってくれたのは、出口倫子(いでぐちみちこ)さん。27歳のプロ競輪選手で、今年デビュー5年目を迎えています。プロスポーツの世界に進むこととなったきっかけや、今も五島に住みながらプロ生活を続けることの意味など、選手ならではのエピソードを交えながらお話を伺いました。

離島初の女子競輪選手

 「バンク」と呼ばれる競争路上を自転車で走り、速さを競う競輪。その世界で離島出身初の女子のプロ選手として活躍しているのが、五島市木場町出身の出口倫子さんです。自転車競技に興味を持ったのは4歳の頃。福江島を会場としたアイアンマンJAPANというトアイアスロンの国際大会がきっかけでした。「自宅にホームステイしていた海外の選手達を見て、自分もやってみたいと思いました。きつそうというよりも、楽しそう!としか思えませんでした。」幼少期から自転車に触れた出口さんは、小学校3年生の時に福岡県で開催された大会に初出場し、第2位の成績を収めます。その後も競技を続け、高校時代には自転車競技の全国大会で7位となる活躍を見せます。「地元の高校には自転車競技部がなかったので、島外の高校に同行して合宿をしたり、全国大会に出たりしました。」高校卒業後は、大学進学や他の道を考えたこともありましたが、「今まで頑張ってきた自転車競技を活かせる」、とプロの道へ進むことを決めたそうです。

競輪学校を卒業し、デビュー

 出口さんは2度目の受験で、狭き門である競輪学校へ合格します。そこで待ち受けていたのは、11ヶ月間の厳しい練習と、ほとんど自由のない、同期生達との共同生活でした。「同じメンバーと同じ部屋で過ごしていたので自由がなく、人間関係で苦労しました。外部との連絡も決まった日に公衆電話でしかすることができないので、家族との電話の際に泣いてしまい、もう帰りたいと漏らしたこともあります。」と、かなり厳しい環境だったといいます。そんな生活を乗り越えた出口さんは、2019年、青森競輪場でデビューを果たしました。

幾度の怪我を乗り越え初勝利

 デビュー後の選手生活は順風満帆とはいかず、レース中の落車による骨折や入院により思うように走れなかった時期も多かったという出口さん。「これまで7回落車して、骨折は10箇所、手術は4回しました。怪我が多かったのですが、デビュー初勝利は大腿骨骨折後の復帰戦だったんです。その時は練習メニューも自分で考えていたので、本当に嬉しかったし、よく覚えています。」

五島でプロ生活を続ける

 北は函館から南は佐世保まで、競輪のレース場は全国各地に43場あるといいます。もちろんレースの度に五島から移動することになるのですが、出口さんは今も五島在住。「自分には五島が合っていると思います。空気がきれいで、レースから帰ってくると特にそう感じます。不便も感じません。レースで全国に行くので色々な観光地にも行けますし、それでバランスが取れている部分もありますね。プライベートでは、大好きなウイスキーや美味しい食事を楽しみにして、オンとオフをしっかり切り替えています。」は、「仕事として走っているので、プレッシャーや責任、色々なものが圧し掛かってきます。常に楽しいとは言えないかもしれません。」好きという気持ちから始めたことを仕事にした出口さん。その言葉からは、勝負の世界の厳しさが垣間見えました。それでもスポーツをする子ども達には、「離島というハンデがあっても、諦めずに行動を起こせばマイナースポーツもできるし、夢を追うこともできる。強い気持ちで行動を起こして欲しい。」と力強いエールをいただきました。競輪に出口なし。内に秘める不屈の闘志で、今も己の限界に挑戦する、五島の強カワアスリート。これからも自分の道へ向かいまっすぐにペダルを漕ぎ、走り続ける出口さんを応援しています!

 

【取材・執筆・掲載】fully編集部
【掲載先】fullyGOT2023冬号

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