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第21回 五島で輝いている人

本処てるてる店主

橋本 美幸さん

夕暮れ時、福江商店街から市役所の方へ下る道の途中、ぽつんと灯のともる場所があります。それは福江島唯一の古本屋「本処てるてる」さん。

1年前にオープンし、本好きな方はもちろん、いろいろな人々の憩いの場となっています。

このお店の店主は橋本美幸さん。福江島で生まれ育ち、進学で島外へ。

そして4年前に再びこの島で暮らし始めました。

本は幼いころからのパートナー

「幼少期から、本を与えれば静かになる、と言われるほど本を読むことが好きでした。最初は絵本から。そして次第に小説に変わっていった感じです。」

学生時代はお小遣いも限られていたので、基本は学校の図書館などの貸出がメイン。でも新刊や、目ぼしい書籍は本屋さんを巡って探しに行っていたそう。

「子供のころは、歩いて行ける距離に本屋さんが数件あって、全部ぐるっと回って本を探したりしていました。でも、大学から島外に出ている間に、福江に本屋さんがなくなってしまっていた……。

それがどうしても寂しくて。なので、こちらに戻ってきてからは、いつか本屋さんをしようと思っていました。」

きっかけの言葉は長崎の小さな本屋さん

「長崎で良く通っていた本屋さんがあって。ひとやすみ書店という、中島川沿いの眼鏡橋と諏訪神社の間位のところにある本屋さんです。ここで店主の方に『そんなに本が好きなら本屋をすればいい』と言われたんです。本屋を開こうという気持ちがふと湧いた瞬間でした。」

「本処てるてる」の由来

とはいえ、最初から本屋さんをするのは大変なので、別の仕事をしながら本にかかわる時間を持つために移動本屋さんを始めた橋本さん。本山のカフェ・ソトノマや、富江の図書館&コーヒースタンド・さんごさんなど島内各所で、定期的に移動本屋さんを行っていました。

「本の数もまだそんなに無く、物件も借りていなかったので、移動式で始めました。そのころから本処てるてるとして活動しています。名前には、『本がみなさまの日々を照らしてくれますように』という想いが込められています。あと、小さい子供にも読みやすいように平仮名にしました。」

ちなみに、「本処」を付けた理由を尋ねると、「書房とか書店と名乗るにはちょっと恐れ多くて……。」と、なんとも謙虚な理由が返ってきました。「食事処、休憩処、みたいな感じで、本がある場所としてはこれがしっくりくるなぁと思っています。」確かに、小上がりの畳の間がある店内は、本とともにくつろぐ、そんな空間になっていて、「本処」のネーミングはいかにも納得。橋本さんの落ち着いた優しい雰囲気もあいまって、ちょっと寄っていこうかな、ほっと一息つこうかなと足が赴く場所です。

店内の本・自宅の本

店内の本は、表紙が見える並べ方も多く、テーマでも別れていて見やすい配置になっています。「季節や出来事で、定期的に並び替えたりしています。旅行客の方が立寄って下さることもあるので、五島関係の本のコーナーもあったり、五島は自然が豊かなので、アウトドア、サバイバル系のコーナーもあったり。郷土史は、自分自身も好きなので増やしたいジャンルです。最初は自前の本ばかりだったのですが、今では買い取り分と半々くらいになっています。場所が狭いので、コミックや厚手の図鑑、破損や汚れが多いもの、専門書はお断りしているのですが、その他は買い取りしています。自宅は、売る本が増えてまさに本の山状態で大変です……」店舗の本棚はまだまだ増やしたいそうで、出会える本のジャンルや数はこれから増えていきそうです。

子供の頃から通う場所に

「これからどうしていきたいか考えると、長く続けたい、という気持ちははっきりとあるんです。なので、3世代通ったよ!という人が現れるまではやっていきたいなと思っています。」絵本も充実しているので、昼間から開いている日曜日は、小さな子供が親御さんとともに来ることもあるそう。また、本好きな中高生の常連さんもいて、友達と好きな作家談義をしている姿もうれしい光景。

子供たちが成長とともにたくさんの本に出会える大切な場所なのだと感じました。

子供の頃から通う場所に

最後に、本処てるてるにある橋本さんの大好きな3冊を紹介いただきました。

①スキップ

十代の主人公が、四十代にいきなりスキップしてしまうというストーリー。十数年を失ってしまった主人公が、それをどう受け止めていくのか……橋本さんは、自身の節目ごとに読み返しているそう。

②こんとあき

絵が大好きだというこの絵本。お子様へのプレゼントにもぴったりです。

③女子の古本屋

全国の、女性が経営している古本屋さんの特集。

いろんなストーリーが面白いです。

fullyGOTO2019冬号掲載

【取材・執筆・掲載】fully編集部

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